三匹穴直下で
【概要】
およそ２週間振りの西俣尾根。前回は諸事情で枯松峰までだったがやはりこの時期の頼母木山に立ちたくて早朝自宅を出た。５日間ほど続いた雨もようやく上がり今日は久しぶりの晴れ間が期待できそうだった。しかしこの雨も高い山では雪だったらしく稜線付近はうっすらと雪化粧している。枯松峰を過ぎると登山道に新雪が現れはじめ大ドミからはさらに積雪が増した。といってもこの辺りの新たな積雪はせいぜい５〜１０cm程度なので気温上昇が予想される今日明日中には消えてしまいそうではある。積雪よりも心配だったのはむしろ今日の風。全国的に高気圧に覆われるといっても東北南部は気圧の谷が通過中らしく朝からめっぽう風が強かった。三匹穴を通過する頃にはさらに激しくなり暴風の様相を呈してくる。ジャケットはもちろん冬用の手袋も必携だった。雪渓上に降り積もった新雪が霰となってバリバリと音を立てて襲ってくる。まるでブリザードである。今日は晴れているのがせめてもの救いで曇天であればすぐさま引き返している。雪渓上では時々ピッケルを差して耐風姿勢をとらなければならなかった。頼母木山には４時間３０分かかって到着した。山頂では台風を思わせる暴風が吹き荒れる。立っているのもやっとでわずかでも滞在できる状況ではなかった。なにもかも飛ばされそうなのでカメラを構えることもできず適当にシャッターだけを押しすぐさま山頂を後にした。その風も尾根の東側にまわり込むとウソのように弱まる。例年よりも残雪は多いのでこのまま雪渓をつないで三匹穴まで下って行くことにした。途中わずかに笹の上を歩いたが残雪が一面に広がる光景にワクワクする。このまま急斜面を山スキーで下ったらどんなに素敵だろうと思わずにはいられなかった。しかしこの頼母木山往復は意外と長く登り甲斐もあるコース。よほど疲れてもいたのだろう。途中でザックからの落とし物に気付かず大曲りからしばらく登り返してみたが結局見つけられずに終わってしまい余計に疲労感が増してしまった。
